2016年の世界動向と自然派ワイン

CPVリポート - 2016年の世界動向と自然派ワイン

2016年の世界動向と自然派ワイン

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自然派ワイン情報
執筆 : 
ITO 2016-1-13 8:29

                                                     2016年、地中海に元日の朝日が昇った

世界は大きく動いている。大略的に見れば世がより佳くなるために、人類が乗り越えなければならない課題が浮彫になって来たといえる。愚連隊のような連中が国まで造って平然と世界中の国を相手に戦争を仕掛け、人殺しを当たり前の如くにやっているイスラム国が存在している。 地球温暖化現象がいよいよ表面化して異常気象や環境変化による災害が具体的、日常的になってきた。この年末年始の暖かい気温はフランスではフランス気象台始まって以来の暖かい気温が  記録された。春に咲くべき花が12月に既に開花となった。南仏の春に咲くミモザが12月に満開だった。北極ではこの時期は-50度が普通の気温、しかし今年は+2度という異常な気温となっている。 この2点、1イスラム国の蛮行、2地球温暖化現象の深刻化が、人類のあらゆる方面の活動に、具体的に大きな影響を与えている。単に新聞上のニュースとしてではなく、人々の日常の生活にも、大きく影響を及ぼしている。


1―イスラム国による世界テロ現象  (パリのテロ現場バタクラン)


15年11月のフランスでの銃撃・爆弾テロは世界中を震撼させた。実行犯はフランス人である。もともとはイスラム教とは無縁だった若者達がある日突然にイスラム国に行って変身しての行動だった。
フランス中にイスラム国の戦闘員が数千人も生活している。彼らの殆どはフランス国内の落ちこぼれた若者達である。彼らは仕事もなく将来の希望が全く見えない状態から脱出をかけて過激イスラム国に入信していった。 自分の価値を認めてくれる集団いや国がある。今、お先真っ暗な状態とは全く違う。自分の存在価値を活かせる場がある。
でたらめな偽イスラム教論理を造って、世界中の人達をできるだけ多く殺戮 することが神に報いること、という出鱈目な理論だ。自分の命を捨てて、可能な限りの殺戮をすることが、人間として立派で価値のあること、という理論を組み立てて入信した若者を徹底的に洗脳している。こんな信じられない狂った集団が国まで造ってしまった。
こんな集団をここまで世界が何も行動せずに放置しておいた、という事実自体が、今までの世界倫理からも考えられない事実現象である。 イスラム国のテロ実行犯の殆どは、イスラムとは関係のない外国人集団なのである。世界中の若者、特にヨーロッパには社会からはみ出された若者が多い。貧富の差の拡大も広がっている。若者達にとって夢を抱けない社会は問題である。特にフランスはいい意味でも悪い意味でも大人の世界の国だ。若者が前面に出れる場が少ない。社会システムにやや問題がある。彼らの溢れんばかりのエネルギーを良い方向に善用できる道があるはずだ。
                                                                                                                  (レプブリック広場)

社会システムが造り出したエントロピー

資本主義社会で勝ち組、負け組の発生、その格差の拡大。自分の会社のみが儲かるシステムで勝ち続けなければならない宿命を持った資本主義社会システム。その限界が生む出した社会の歪が、偏った宗教と結びついてとんでもない国を造ってしまったのである。国、会社、個人の行き過ぎたエゴが生み出したエントロピーと云ってよい。これらの事件は多くの世界中の人達に、色んな事を考えさせる大きな切っ掛けとなっている。この事件は単にテロによる殺戮行為ばかりを非難することより、社会システムの在り方をかんがえさせられた。人々に生き方の変化を迫る事件として捉えることもできる。


第2の地球温暖化現象                       


昨年末に、テロで緊迫した状態のパリで、世界から195か国が集まり環境対策会議COP21が開催された。

厳戒態勢にあった危険なパリに、なんと147か国の首相、大統領など各国のトップ政治家が集結した。

アメリカのオバマ大統領、ロシアのプーチン、中国の李首相、ドイツのメルケル首相、日本の阿部首相など世界を動かしているトップ政治家がほぼ全員が集まったのは凄いことである。            

                                                                      マルセル・ラピエール

この事実だけでも、今までにない環境問題の重要性を世界中が認知していることを示している。
この国際会議中、アフリカ、アジアの小国で環境破戒されている現状が次々と発表された。大国の利益追求の企業活動が地球の裏側の小国の国民が多大の環境破壊の被害を受けている現状が明らかになった。 

この問題も今までの社会システムが造りだしたエントロピーと云ってよい。 つまり自分の国、自分の会社だけの利益を確保するために行ってきた企業活動が環境   破壊、公害、温暖化、地球破壊に繋がってきたのである。 つまり行き過ぎたエゴの結果と云ってよい。この年末年始に北極の気温がプラス2度という異常な高温となった。普通ならばマイナス50度のところである。
どんな理由、説明の如何を問わず、我々の生き方を変えなければならない現実 が目の前に突き付けられている。                                           
この2つの問題は、どんな職種の人、どんな国の人にとっても共通の課題を浮き彫りにしてくれたのである。我々全人類に投げかけられた課題を越えなければ、明日の地球がないということを明確に示してくれた。                                          
ピエール・オヴェルノワ
 

人間の生き方の変化が不可欠な時代の到来            


我々地球に住む人間一人一人が生き方を変えなければ明日がないという危機感は誰でも認識できるところまできた。貧乏人だろうが、お金持ちだろうが、どんな宗教を信仰していようが、どんなイデオロギーを持とうが、すべての人にとって地球は一つしかないのである。
この意識は、日常生活のあらゆる場面、行動に影響を与えている。 当然の如く、近年の消費者心理の中に“自然”というイメージが大きく影響を与えている。人々がものを買ったり、消費する時には、商品のトレサビリテーを吟味する層が急増している。これは世界的な傾向である
                                   
ダール・エ・リボ
  

若手自然派醸造家の急増と自然派ワインの品質向上   

       

我々はワインの世界で生きている。このワインの世界も大きく変化している。まるで氷河が解けるようにビオに転換する醸造家が増えている。 特に世代交代をする若い世代は、ごく自然な形でビオ栽培を導入している。 若い世代ほど自然に関しては敏感である。

今、フランスでは農薬によって病気になった農家の話題がマスコミでも報道されている。
また、除草剤や農薬による水質や農地公害の話題を頻繁にマスコミが取り上げるようになった。
オリヴィエ・クザン
醸造元として生計を立てる為に、他人に迷惑をかけたり、地球を汚すようなことはしたくないという醸造家が増えてきているのである。
一旦栽培をビオ、自然な栽培にすると、次は醸造も自然な造りに転換する醸造家が急増している。

あえて、一昔前のように自然派と名乗ら
ない醸造家が増えている。 これは素晴らしいことだと思う。


ブルノ・シュレール


自然派ワインが浸透して一般化しつつあるのを感じる。消費者の方も何の抵抗もなく自然派ワインを楽しむようになってきた。
自然派ワイン専門のワインバーでも、今は敢えて自然派ワインとは謳わないバーやビストロが増えて いる。その裏には、自然派ワインの品質が格段に安定してきたことが大きな 理由とメリットとなっている。

一昔前の自然派ワインのように、還元した異常に臭いワインや酸化したワインが減少している現状がある。普通の美味しいワインとして気軽に安心して提供できる状況になってきている。
 フラール・ルージュのジャン・フランソワ・ニック


昨今の自然派ワインの品質向上が著しい。そして、高品質の自然派ワインを造る若手醸造家が次々と誕生している。最近の若手は初リリースから本当に美味しい。

初期の自然派醸造家達が多くの失敗を重ねながら試行錯誤で20年の歳月を費やして築きあげた手法があり、それを惜しみなく自然派2世代に伝授した。2世代目の天才的な稀有の才能を持った少数の醸造家達が更に磨きをかけた“技”を確立。そして、最近はその磨きのかかった“技”を最初から熟知して、それを普通の如くに使いこなす3世代目と云ってよい若手が出現してきた。 ここ最近の若手醸造家のセンスが光っている。古参自然派が達しえなかったレヴェルに若手が飛び越えて驚くような高品質のワイン造りあげている。 3世代目の時代が到来しているのを感じる。
ラングロールのエリック・プフェーリング

初代自然派   マルセル・ラピエール、ピエール・オヴェルノワ、 ダール・エ・リボ、オリヴィエ・クザンなど、  

2世代目として  ブルノ・シュレール、フラール・ルージュ、ラングロール、 フィリップ・パカレ、ラパリュなど傑出した才能の持ち主

3世代目として  マチュ・ラピエール、レミー・デュフェート 、 デビュベルタン、バティスト・クザンなど多くの若手誕生中 
フィリップ・パカレ

 

自然派ワインの愛好家が世界中に拡大


急増する自然派ワインを支える消費者、レストラン、小売店が世界中に増えている。  世界中の消費者の指向が“自然”に向いているからである。 世界の不安材料が一杯の様相、イスラム国、環境破壊からの温暖化などが、人々の指向をますます“自然”な方向に向かわせているのだろう。

北欧、ロンドン、ニューヨークと物凄い勢いで拡大している。 この傾向は2016年も更に拍車がかかるだろう。 品質向上と安定感が備わり、本来のワインに戻ったからである。  6000年のワイン歴史の中で、現在のような人工的な化学物質を加えてワインを造りだしたのはたったの60年前からである。 ボルドーグランクリュが制定された1885年の時代はすべて自然なワインだったのである。除草剤も殺虫剤も人工酵母も存在しなかった時代である。みんな自然酵母でワイン造りをしていたのである。         
ジャンクロード・ラパリュ
 
つまり、当時のワインは今のボルドー・グランクリュより現在の自然派ワインのスタイルに近かったのである。誰もが自然栽培、自然酵母でワイン造りをやっていた。自然派ワインの本質は本来のあるべき姿、つまり普通のワインに戻っただけなのである。

 

自然派ワインには地球の奥からのメッセージが


2億4500万年前の世界地図

フランスの葡萄畑には、まだ世界中の大陸がくっ付いていた時代、3億年前の土壌、ミネラルが多く存在している。古いものは4億年前のミネラル、地質史で云うシルル紀やデボン紀の石灰岩やシスト土壌がフランスに多く存在している。葡萄の根っ子はこれらの土壌のメッセージを葡萄に運びワインの中に伝えてくれている。

46億年の地球の歴史の中で人間が出現したのは、たかだか50万年前からなのである。 我々は人間になる前は微生物、その前はミネラルだったのである。数十億年の進化を  重ねて人間になった。今でも人間の体にはミネラルや微生物が入っている。 人間の体の一部といってもよい。ミネラルや微生物なしでは生きられない存在である。 自然派ワインを飲むということは我々の先祖に出逢うことなのである。 除草剤や殺虫剤をまき散らした畑には、微生物も土壌も死に絶えてしまっている。 そんなワインを飲んでも我々の先祖には出逢えないのである。 地球のメッセージもエネルギーも伝わってこない。


現在の世界地図


人間が生き方を変えなければ地球は姿を変えてしまう


人間の行き過ぎたエゴの結果として、今地球が壊れかけている。というより、人間が住めない状態だったころの地球に戻ってしまいそう。我々は地球の原点を見つめて生き方を変えなければ明日がないところまで来ている。 地球が46億年の年月をかけて人間が住めるような環境を作ってくれた。それにも関わらず、我々人間は地球を汚して自分達が住めない地球に戻そうとしている。地球の深いところにあるメッセージにもっと耳を傾けてもいいだろう。

マチュ・ラピエール
 
ワインの中には、豪華な宣伝や見せかけに大量のお金をかけている有名ブランド も存在している。果てしない金儲け競争に打ち勝っている状態の一部の人間が飲むには相応しいワインなのかもしれない。しかし人間のギラギラした邪念と化学物質と自然を凌駕した如くに人工テクニックを使ったワインには地球のメッセージは入っていない。 自然派ワインは我々人間に、生き方の方向性を示してくれているのではないだろうか。 過ぎた強烈なエゴの持ち主には自然派ワインは造れない。すべてを征服しうるような考え方の持ち主の人間にも自然派ワインは造れない。 
レミー・デュフェートル
気候、土壌、微生物、自分、周りの人、飲む人も含めてすべての環境と友達にれるような人間の大きさがないと美味しい自然派ワインは造れない。 チョット有名になって大儲けして大金持ちになってやろう、という人間も不可能だ。

他人を蹴落として自分だけ利益をえたり、人を騙して自分だけ利益をえるような生き方、自分の優れた能力、技術、を多くの人達と調和をとるような使い方が出来ない人達も、もうこれからは必要のない人種になるだろう。
デブーベルタン

いわゆる昔風に云うならば、まっとうな人間、まっとうな考え方、関わるすべてのモノをまとめて調和を図るような生き方が必要なのである。 “利は義の和なり”という生き方が必要なのである。
エゴが悪いのではない。エゴにはエネルギーがある。過ぎたエゴがダメなのである。節のあるエゴ、調和をとるエゴがある。世に気持ちの良い空気、波動のようなモノを出せる最強の良質エゴが存在する。  

バティスト・クザン




これからの人間の生き方“共生”のヒントが自然派ワインにあり



1990年代の半ばからVIN NATURE自然派ワインという言葉が使われるようになり、現在までになった過程で、当初はマルセル・ラピエールの人間的な器の大きさと魅力で多くの醸造家が自然派ワインに参入してきた。 自然派のイメージとマルセルのイメージが重なっていた時代があった。マルセル亡き後も各地方にリーダーが生まれていい意味で自然派が広がっていった。 その広がり方が良かった。

20社の自然派が東京・大阪で販売者・ファンと交流


先輩醸造家が新参の後輩にすべてを惜しみなく伝授していく姿は、今の世の中には存在しないスタイルだった。競争、競合が普通のこの社会システムの中、自分が 数十年をかけて身に着けた“技” を惜しみなく伝えて、新参者が独立する手法まで面倒をみる、時には畑を提供したり、金銭的に、物理的にも援助をするというシステムがこの自然派には多く見られた。

日本業務店のメンバーがラングロールと交流


他の世界では見られない共生の思想が自然派ワインの世界にはある。
自然栽培は自然と共に協調しなければ成り立たない仕事である。時には自然から過酷な仕打ちを受けたり、自然の恵みを享けたり、喜怒哀楽を日々続けながら勝ち
得たものがある。その生活の知恵は、本では絶対に学べない実践哲学なのである。


そこには本当の意味で人間と自然の調和を見ることができる。人と天(月、太陽、星、天候、)人とミネラル、人と微生物、人間同士の調和、他の世界では見られない生活文化が育っている。

PASSION DU VINでは、ワインを造る人、飲む人、販売する人、自然派ワインに関わる多くの人間同士が交わる機会をできるだけ多く企画している。

日本の小売店の皆さんがエリアン・ダロス訪問


造る人と飲む人、造る人と販売する人、販売する人と飲む人など、自然派ワインに関わる人達には共通した空気、波動が存在していることをその都度発見してきた。 素晴らしい一会一期の調和の出会と空間を経験してきた。

環境破壊、イスラム国の蛮行が全面に出てきた2016年の冒頭にあたって、これから人間が向かうべき生き方のヒントが自然派ワインの中に多く存在するように思う。

自然派ワインを愛する人、販売する人、造る人、私にとっては皆同志である。世の中の動きが、ますます我々の方向に近づいてきているよう思う。

東京の酒販店がワインファンと共にミレーヌ・ブリュ醸造


自然派ワインには地球のメッセージ、エネルギーが詰まっている。 みなぎるエネルギーを持って、自然派ワインと共にまっとうな波動、空気を世に送り出したい。 我々に追い風が吹いている。 ワインで世を変えられる!私は確信している。 2016年も自然派ワインの大飛躍の年となるでしょう。

燃やせ!!PASSION!!燃えろ!!PASSION!!   PASSION DU VIN
伊藤與志男  PARIS

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