命と引き換えて手に入れた畑・COKALIERES - DOMAINE D’AUPILHAC訪問

CPVリポート - 命と引き換えて手に入れた畑・COKALIERES - DOMAINE D’AUPILHAC訪問

命と引き換えて手に入れた畑・COKALIERES - DOMAINE D’AUPILHAC訪問

カテゴリ : 
自然派ワイン情報
執筆 : 
ITO 2008-6-5 10:32

シルヴァン・ファダとコカリエールの畑(すり鉢状になった北向き斜面)


〜 コカリエール物語 〜

シルヴァンはこの畑にくると眼つきが子供のように輝きだしてしまう。この畑を開墾する為に、あまりにも多くのものを犠牲にしてきた。常識人なら絶対にやらない挑戦だった。当の本人も途中で躊躇しかけたことも何度かあった。
山の精に取りつかれたのではと誰もが思った。
この地は地質学的には大変興味深い場所だった。太古の昔、火山の火口跡であり、後に湖があった場所だ。すり鉢状になっている地形だ。彼にとっては、子供の頃から村の羊飼いのおじいさん達から聞いていた特別な場所なんだ。
シルヴァン、あの山の奥には特別な植物がいつも生息している場所があるんだ。
シルヴァンは羊飼いのこの言葉を忘れることはなかった。



この地は乾燥した土地だ。だから植物が絶えずあるということは地下水なり水源があるということである。
この辺の山は、低雑木草のガリグとよばれる野生樫の木か野生のタイムやローズマリの低雑木草しか生息できない。木が高くなるとタラモンターヌと呼ぶ強風がなぎ倒してしまう。この風の影響もあって乾燥度が厳しく、極度に痩せた土地だ。栽培できるのは生命力の強い葡萄木かオリーヴの木ぐらいしかない。


〜 開拓中、畑から取り除いた岩盤のほんの一部 〜
濃縮競争から繊細・上品さへ

シルヴァンはワイン造りにある課題を抱えていた。1990年代は濃いワインを造ることにみんな夢中だった。ラングドックの若手醸造家は90から97年ごろまでは濃縮しっこ競争だった。結果、どこにも負けない濃縮したワインを造ることは、ここラングドックではそんなに難しいことではない事がわかった。
シルヴァンの次の課題は、繊細で上品なワイン造りだった。酸が必要だった。水が少ないこの地でフレッシュなワインを造ろうとすれば、標高の高い、北向き斜面で、水分が読めるところだった。


シルヴァンは子供の頃、村の羊飼いから聞いていた話を忘れなかった。
ある日、村の裏山に登った。すり鉢状の低雑木林を見た時、体が震えるほど興奮してきた。
ここだ!
シルヴァンの目は、このすり鉢状の北向き斜面に釘付けしたままだった。
俺のこれからの人生はここにかける!
所謂一目惚れだ!







〜コカリエールの開墾開始〜
子供の頃から決めたらじっとしてられない性格だ。畑を手に入れるべく行動を始めた。会社は決して余裕のある経営状態ではなかった。しかし、そんなことで諦めるシルヴァンではない。銀行との交渉は難航したものの何とかクリアできた。
夢の雑木林を手に入れることができた。まず、現場まで行く道の整備をしなければならなかった。やっとブルドーザーなどが行ける道ができた。雑木を抜く作業を開始したのは98年だった。              
予想してた以上に困難な作業だった。                     



〜ガリグと呼ばれる雑木林〜
木を抜いてもその下に巨大な岩盤が無数にあった。ブルドーザーでもビクともしない岩盤が多数あった。普段の農作業をやりながら、岩盤を取り除く過酷な作業を続けた。

〜妻との別離〜
疲れ果てたシルヴァンは家族の様子に気を配る余裕がなかった。ある日、妻から離婚話がでた。
妻の堅い意志にもうなすすべがなかった。最愛の妻と2人の子供は家を出て行った。大きな絶望感に襲われた。すべてを投げ出したかった。しかし、そのマイナスエネルギーを開墾作業に熱中することでプラスエネルギーに換えていった。気が狂ったように働いた。大きな岩盤はダイナマイトで崩して畑の淵に運びだした。




〜死との直面—心臓手術〜
岩盤との戦いは壮絶だった。想像を遙かに超えるものだった。過労が過ぎた。ある日、心臓に違和感が走った。病院にて検査した結果、即刻の要手術だった。
シルヴァンはベットに横たわった。自分は一体どうなるんだろ。このまま終るんだろうか?
どうどうめぐりのように、考えつくした。その結果、自分に回答を出した。

もし、もしも自分が元気にここを出れたら、自分の思う通りの事を思いっきりやるんだ!
勿論、コカリエールを完成させることだった。



〜 生還 〜


ペースメーカーを付けての生が許された。感激と喜びと感謝にあふれた。生還だ。もう迷いはなかった。
体力の許す範囲で急がず着々と続けた。
1992年に最初に植えた葡萄の収穫を得た。感激だった。感無量の瞬間だった。

幸の巡りあわせ 〜 再婚
スペイン人女性デジレに巡り合う。結婚、最愛のマレーナと、マノンの2人の娘をもうける。














2005年、2006年
コカリエールは進化を続ける。樹齢は毎年積み重ねられる。根ッ子は火山岩盤の中を着実に伸びている。
素晴らしワインができた。
シルヴァンが狙った通りの、フレッシュな酸をもち合わせた上品な果実味だ。樹齢が若いにもかかわらずミネラルなクリアな風味がある。素晴らしい土壌だ。



命と引き換えに手に入れた畑の情熱稀一本 ⇒

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